ドラマ「エール」 ただの朝ドラじゃない!祐一の壮絶な人生と心に刺さる名言の数々【感想】

朝ドラ「エール」は、実在する作曲家である”古関裕而(こせきゆうじ)”さんをモデルとして、ひとりの作曲家の人生を描いた連続ドラマ。

主人公の”古山祐一”は、気が弱いうえに勉強も運動も苦手。自分には何も取り柄がないと思っていた祐一だった。

だがある日、小学校で出された作曲の課題をきっかけに、自分には作曲家としての才能があることに気がつく。

そこから、祐一の輝かしくもあり、また苦悩に満ちた人生が始まっていくのだった。

NHK連続テレビ小説『エール』
心に届け 君への応援歌(エール)! 昭和という激動の時代に、人々の心に寄り添う曲の数々を生み出した作曲家・古山裕一とその妻・関内 音の物語です。

朝ドラ「エール」の特徴・魅力

祐一の”苦難の人生”に涙が溢れてくる

1つ目の特徴としては、祐一の苦悩の日々をリアリティに描かれていること。

  • 一度は掴みかけた作曲家への道を失ったときの絶望
  • 家族の幸せか、それとも自分の夢かの悩み
  • 自分にこだわるあまり、いい曲が書けず、作曲する意味を見失っていく苦しみ

そういった感情が、見ているこちらにまで、ひしひしと伝わってくる。

それは、祐一を演じる俳優の”窪田正孝”さんの演技がうまいからだろうか。

祐一のそういった苦悩する姿がとてもリアリティのあるものとして感じられる。

不器用ながらも懸命に、ときには周りの人の助けも借りながら、苦悩を乗り越えようとする祐一の姿。

涙なしでは見られない。

示唆に富んだ言葉の数々が心に突き刺さる

2つ目の特徴は、「示唆に富んだバラエティ豊かな言葉」が劇中の至るところで出てくること。

  • 心動かされ、感動する言葉
  • 自分の考え方や生き方を見直すきっかけになる言葉
  • ハッとさせられ、いままで考えてもみなかった新しい発見につながる言葉

そういった言葉の多くは、私たちに”より良く生きるためのヒント”を与えてくれる。

祐一もまた、そういった言葉に感化され、ときには反発しながらも人間として大きく成長していく。

気弱で内気で、世間知らずだった若者が、人々に勇気や力を与える曲を作る立派な作曲家へとなっていくのだ。

印象に残っているキャラクターや言葉・エピソード

人よりほんの少し

  • 自分には得意なことがなにもない
  • 特別な才能なんて、私にはない

そういった思いを抱えながら、日々を過ごしている人も多いのではないでしょうか。

次の言葉は、祐一の小学校の担任だった”藤堂先生”が、祐一に自信を持たせるために伝えたものだが、私たちにも”自分の才能”に気づくヒントを与えてくれる。

人よりほんの少し努力するのがつらくなくて、ほんの少し簡単にできること
それがお前の得意なものだ
それが見つかれば、しがみつけ
必ず道は開く

(「エール」第5話)

その言葉に導かれるように、祐一は作曲の勉強に邁進する。

  • 努力するのがつらくないことってなんだろうか?
  • ほんの少し簡単にできることってなんだろうか?

そういった視点を持ち、普段の生活で何気なくやっている行為にも、目を向けてみたい。

気がついていない”自分の才能”を発見することができるかもしれない。

才能って言葉、私は大っ嫌い

祐一の妻である”音”は、歌手になる夢のために音楽学校へ通っていた。

そこで、学年No.1の実力者である”夏目千鶴子”と出会う。

彼女の圧倒的な実力を目の当たりにし、衝撃を受ける音。

「うらやましいな。わたしにも千鶴子さんぐらいの才能があったら」

その発言を聞いた千鶴子は、顔をしかめながら、次のように言った。

才能って言葉、私は大っ嫌い
努力もしないで誰かをうらやむだけの人って、私には理解ができない

(「エール」第32話)

私たちは、有名人やスポーツ選手を見る時、輝かしい栄光ばかりが目にいきがちだ。

しかし、その栄光のために、いったいどれだけのものを乗り越えてきたのだろうか。

彼らは、その輝かしい栄光を手に入れるため、どれだけの苦悩を抱えてきたのだろうか。

  • 過酷な練習
  • 挫折
  • スランプ
  • ケガ
  • 将来の不安

きっと栄光を掴んだ今でも、常にそういった葛藤が心の中に渦巻いている。

また、”ひとつ選ぶ”ということは、同時に”それ以外のものをすべて捨てる”ということでもある。

夢や栄光を掴み取るまでに、いったいどれだけのものを犠牲にしてきたのだろうか。

  • 平穏とした生活
  • 甘い青春
  • 自由な時間

こういったことを考えた後でも、はたして他人をうらやむことができるだろうか。

同じだけの努力や犠牲を払ってでも、成し遂げたいと強く思えるだろうか。

他人をうらやむ前に、自分の普段の行いを改めて考え直してみたい。

僕、ずっと自分を見てた

レコード会社への就職も決まり、作曲家としての一歩を踏み出した祐一であったが、曲はなかなかレコードに採用されず。

ついには、同期の”木枯”にも先を越されてしまう。

「早くレコードに採用されないと…」
「認めてもらわないと…」

そんな気持ちが募るほど、祐一は”自分の音楽”にこだわるようになっていく。

そして、作る音楽はどんどんとひどいものに。

曲が書けない祐一を見かねて、周りの人は助言やアドバイスを送る。

  • 君みたいに、おのれにこだわって才能を活かせない人、たくさん見てきたよ
  • ありきたりじゃまずいの?
    曲が書けないのは、”自分の音楽”を作ろうとしているからじゃないかな?
  • なにかを変えないとまずいと思う。このままでいいの?

しかし、そういった言葉も、祐一には受け入れる余裕がなく…

だが、早稲田大学応援部団長との出来事をきっかけに、ついに祐一は早稲田の応援歌となる”紺碧の空”を書き上げることができた。

そこで祐一は、”だれかのために曲を作ること”の大切さを痛感し、そのときのことを思い返しながら、次のように語った。

僕、ずっと自分を見てた
ただひたすらに、「自分、自分、自分」
僕の頭ん中、「僕」でいっぱいだった
誰も、誰も入る余地なんてなかった
自分の力 示すことに固執していた
そんなひとりよがりな音楽、伝わるわけない

(「エール」第40話)

そうしてできた”紺碧の空”は、いまでも多くの人に歌われ続けている。

早慶戦 早稲田大学の応援歌「紺碧の空」(Youtube)

彼を変えられるのは自分だけ

まだ祐一がきっかけを掴めず、紺碧の空を書くことができなかったときのこと。

祐一を心配する妻の”音”は、”自分はどうすればいいのか?何ができるのか?”を周りの人に相談する。

その中で、日頃からお世話になっているカフェのママが発した次の言葉は、とても印象深い言葉だった。

どうだろう、彼を変えられるのは自分だけだと思うけど

(「エール」第37話)

その言葉ととも送られた徳川家の遺訓

そこで、音は「変わるのを待つこと」の大切さとともに、「何もしないこと」の大変さを痛感する。

 

この言葉が私にとって印象的なものだったのは、私自身が「待つこと」に救われたひとりだったからだ。

大学受験に失敗し、予備校生活もうまくいかなかった私は、ひきこもり生活を送っていた。

そんな状態の私であっても、母は、私を家から放り出したり、ひきこもりを早く解消しようと急かしたりすることなく、私が”気づく”のを待っていてくれた。

私自身にそういった経験があったからこそ、”なにもしないこと”に対するもどかしさややるせなさ、つらさを感じている”音”の姿が、他人事とは思えなかった。

頑張ることは、つながるんやって

第8週目「紺碧の空」。

この週は、「エール」の中でも一、二を争うほど好きなエピソード。

早稲田大学 応援部団長の”田中隆”は、早慶戦で慶應義塾に勝つため、新しい応援歌を作りたいと考えていた。

そこで、祐一に新しい応援歌の作曲を頼むことになった。

しかしながら、祐一は応援歌にあった曲を作ることができないでいた。

早慶戦を翌日に控え、団長は祐一に思いを伝えるため、自分の過去の話を始める。

それは、中学時代にバッテリーを組んでいた”清水誠二”のことだった。

清水は、隆とのキャッチボールで足に大ケガを負ってしまい、手術が必要となった。

麻酔が思うように効かず、痛みにもがく清水に、隆は必要なものを聞く。

「痛みに耐えるために、ラジオで早慶戦を聞きたい」

ラジオの早慶戦もあり、手術には耐えた。でも、足は元通りにならず、清水は学校もやめた。

そんな清水に、自分にできることはないかを隆は尋ねる。

「早稲田を勝たせてくれ。それが一番の楽しみだ」

俺はそんときに気づいたとです
野球ば 頑張ってる人のラジオば聞いて頑張れる人ば おる
頑張ることは、つながるんやって

(「エール」第39話)

野球の技量が足りなかった隆は、応援で早稲田の力になりたかった。

だが、早稲田は連戦連敗。藁にもすがる思いで祐一に応援歌の作曲を頼んだのだった。

「清水のために、曲を書いてください」

その思いを聞き、作曲に大切なものを気づいていく。

自分の才能を認めてもらうためではなく、他人を元気づけるため、力を与えるために曲を作る。

人と違うことをしているから評価されるのではない。

人にできないことができるからといって評価されるわけではない。

”人が求めているものを感じ取り、それを形にする”

そういったことの大切さを、このエピソードは私たちに伝えているのだと感じた。

ただの朝ドラでは終わらない”なにか”が「エール」にはある

私自信、朝ドラをここまで夢中になって見たことは初めてだ。

しかも、この「エール」も最初から見ていたわけではない。

コロナ禍の自粛期間に、つけっぱなしにしていたテレビから流れてきたものをたまたま見たのが始まりだった(たしか、第3週目か第4週目だったと思う)。

話の筋もよく分かっていなかったが、不思議なことにテレビ画面に釘付けになった。

「これは、ただの朝ドラではない…!」

なぜかはわからないが、そう感じたのをいまでも覚えている。

そして、回を重ねるごとに、その思いはだんだんと確信へと変わってきた。

いい意味で、私たちの予想や期待を裏切ってくれる朝ドラ「エール」。

コロナの影響で、6/29から再放送を行っている現状だが、9/14から放送が再開することが決定した。

“毎日の15分の楽しみ”が戻ってくる。

これからどのような展開が待ち受けているのだろうか。待ち遠しくてしかたがない。

NHK連続テレビ小説『エール』
心に届け 君への応援歌(エール)! 昭和という激動の時代に、人々の心に寄り添う曲の数々を生み出した作曲家・古山裕一とその妻・関内 音の物語です。