12月
世間はクリスマスだなんだといって浮かれている季節。
一方で、わたしのほうは、彼女ともう3ヶ月以上会っていない状態。LINEのいちばん新しいメッセージも1ヶ月前。
「このまま自然消滅していくんだろうな…」
そんなことを考えていた矢先、彼女のほうからメッセージが。
「ちょっと会って話さない?」
メッセージを見た瞬間、「ついに、この瞬間が来たか…。」と寂しい気持ちになる一方で、なぜか安堵している自分がいた。
会って言われることなんて決まっている。別れ話だ。
当日は案の定、別れをきりだされた。
「やっぱり友達としか見れない。付き合っていれば恋人っぽくなると思ったけど…」
そう言って、フラれた。
あらかじめ予想していたことだったので、それほど動揺もせずに、彼女の言葉を聞いていた、
でも、この言葉を投げかけられてから、心の中にモヤモヤしたものが生まれはじめた。
「”恋人っぽく”って、いったい何なんだ?」
“恋人っぽく”って何だ?
どうしたら、恋人っぽかったのか?
- 男っぽく、女性をリードすれば良かったのか?
- 綿密な計画の立てて、甘いひと時を演出すれば良かったのか?
そもそも”恋人っぽい関係”って何なんだ?
- 男友達と恋人では、やることがそんなに大きく変わるものなのか?
- “恋人っぽく”なんて、ある種の幻想なんじゃないか?
いろんな考えが頭の中を駆け巡ったが、どれひとつとしてわかるものがない。
30年近く”彼女いない歴=年齢”だった私には、まったくわからない。
いくら考えても、答えらしきものすら出てこない。
相手に求めるものが違ったふたり。ニーズの違い
彼女の言った”恋人っぽく”の意味は、まだわからない。
でも、ひとつだけわかったことがある。
それは、”お互い、相手に求めるものが違っていた”ということ。
私は、友達の延長としての”彼女”が欲しかったんだと思う。
なんでもないようなことが幸せだと感じれるような身近な存在としての彼女が。
特別なことはなくても、ただ二人でいるだけで癒やされるような。
ラーメンを食べに言ったり、買い物に行ったり…。そういったことが気兼ねなく楽しめる存在。
そんな”日常を一緒にすごす彼女”が欲しかったんだと、改めて気がついた。
一方で、彼女は、友達としてではなく、特別な存在としての”彼氏”が欲しかったのかもしれない。
普段では味わえないようなトキメキやドキドキを感じることができる特別な存在としての彼氏が。
おしゃれなディナーを楽しんだり、ロマンチックな雰囲気を味わったり…。
誕生日には、思いがけないようなプレゼントや気のきいたサプライズが自然と演出できるような。
そういった、”非日常を一緒にすごす彼氏”を、彼女は求めていたんじゃないだろうか。
正直に「興味がなくなった」って言ってほしかった
お互い、相手に興味がなくなっていったことには気づいていた。
LINEを見ると、いちばん新しいメッセージは1ヶ月以上も前。
最後に行ったデートは3ヶ月以上も前。
「このまま自然消滅していくんだろうな…」
そんなふうに考え始めていた頃の彼女からの別れ話。
「私たち、合わなかったみたいだから別れよ?」
なんだか、漠然とした切り出し方に、少し拍子抜けした。それと同時に、なんだかモヤモヤしたものを感じた。
「正直に言って、そこまで好きじゃなかったし、もう興味がなくなったから別れよ」
はっきりとそう言ってくれれば、こっちもスッキリできたのに。
「わかった。別れよっか!」
ほとんど会っていなかったので、別れた前と後で、生活の変化は何もない。
彼女がいない生活には、別れる前から慣れていた。
「ただ、”彼女がいる”という肩書きがなくなっただけ。」
そうやって、自分に言い聞かせる。
だけど、自分の中で、何かが欠けたような、よくわからない感情を味わっている。