マンガ「ダイの大冒険」 2人の少年の成長を描いた冒険の旅【感想】

「ダイの大冒険」は、人気RPGゲーム「ドラゴンクエスト」をモチーフとした冒険マンガで、1989年から1996年にかけて、週刊少年ジャンプにて連載されていた。

ゲームの「ドラゴンクエスト」と同様に、突如として現れた大魔王を討伐することを目的としたストーリー。

勇者に憧れる”ダイ”とお調子者の魔法使い”ポップ”が平和な世界を取り戻すために冒険の旅へと出る。

「ダイの大冒険」の魅力

ドラゴンクエストをやったことがなくても楽しく読める

「ドラクエやったことないから読んでもわかるのかな?」って心配はいりません。

ドラクエをモチーフにしているとはいっても、ゲームと共通なのはいくつかの呪文やザコモンスターぐらい。

主要な登場人物に関しては、敵・味方ともに漫画オリジナルのキャラクター。

呪文に関しても、初めて使う場合には説明が入っていることが多く、また、絵も丁寧に描かれているので、どんな呪文なのかイメージがわきやすくなっています。

なので、ドラクエをやったことがない人でも、すんなりと物語に入っていくことができます。

ダイとポップの成長に胸が熱くなる

メインとして登場する”ダイ”と”ポップ”

「ダイの大冒険」では、2人が冒険を重ねるにつれて立派に成長していく過程が丁寧に描かれている。

臆病者のポップが、次第に勇気を持って強敵に立ち向かうように

お調子者のポップは、冒険を始めて間もない頃は強敵を目の前にすると、すぐに逃げ出してしまっていた。

しかし、どんな強敵であっても勇敢に立ち向かっていくダイの姿に刺激を受けて、ポップにも次第に勇気が芽生えてくる。

逃げ出したい気持ちを抱えながらも、なんとかして強敵を倒そうと立ち上がるポップ。

どれだけボロボロになっても、敵に勝つ可能性を探し、戦い続ける。

その姿を見ていると、胸が熱くなってくる。

人のいない島で育ったダイは、人間として精神的にたくましく成長する

ダイもまた冒険を重ねていくにつれ、苦悩や葛藤を抱えるようになっていく。

窮地で発揮される不思議な力のルーツや自分の出生の秘密、大魔王討伐に対する周囲のプレッシャー。

人のいない島で育った彼は、気持ちの整理をつけることができず、前に進むことができなくなる。

そんなとき、ダイを救うきっかけとなるのは、他ならぬポップだった。

ポップの助けをかりながらも、人間として精神的にたくましく成長するダイの姿を見ると、読んでいるこちらまで目頭が熱くなってくる。

印象に残っているキャラクター・言葉・エピソード

敗北とは 傷つき倒れることではありません

ダイとポップの師匠である”アバン先生”。

かつて勇者だったアバンは、自分が得た知識や技術を後世に伝えるため、”アバンの書”と呼ばれる書物を残していた。

次の言葉は、その書物の”心の章”に書かれた一説。

…傷つき迷える者たちへ…
敗北とは 傷つき倒れることではありません
そうした時に自分を見失った時のことを言うのです
強く心を持ちなさい
あせらずにもう一度じっくりと自分の使命と力量を考えなおしてみなさい
自分にできることはいくつもない
一人一人がもてる最善の力を尽くす時
たとえ状況が絶望の淵でも ー
必ずや勝利への光明が見えるでしょう…!

(「ダイの大冒険」コミックス 13巻)

失敗や挫折は人生にはつきものだ。

だからこそ、その失敗や挫折に直面したときに人としての真価を問われる。

失敗や挫折を経験して自暴自棄になったり投げ出したりするのか。

それとも、その失敗や挫折から学び、自分ができる事を考えて行動するのか。

そういったことを読者に伝える言葉に感じた。

都合のいい事言って 当然の力のように思って戦ってきた でも違ったんだ

土壇場になると、とんでもない力を発揮し、窮地を脱するダイ。

そんなダイの力のルーツを知ったときにポップが語った次の言葉が印象的だった。

おれたちは それを 奇蹟だとか 正義の力だとか 都合のいい事言って 当然の力のように思って戦ってきた
でも違ったんだ
ダイの力は本当は…
ひとつ間違えれば おれたちの世界を滅ぼしてしまうかもしれない おっそろしい力だったんだよな

(「ダイの大冒険」コミックス 13巻)

知らず知らずのうちに、私たちは数多くの発明品を当たり前のように使うようになった。

しかしながら、そういったものは誰かの努力があったからこそ、この世に存在する。

そのことを忘れてしまい、感謝の気持ちもなくしてしまったのかもしれない。

また、”力”の使い方についても、いま一度考える必要がある。

使い方を誤れば、自分の体に悪影響を与えたり、しまいには身を滅ぼすことにつながったり。

そういった”力”との適切な距離を保つ必要性を、いま一度考えさせられる言葉だ。

…ジタバタしかできないなら 方法はひとつ…!!

“アバン”がまだ若かった頃。

魔王の軍勢が世に解き放たれ、なすすべなしと思われたときのことだった。

ある人が「ジタバタしたところで何も始まらない…」と嘆いたのを聞いて、アバンが放った次の言葉が忘れられない。

何もしなければ まさに何もはじまらないでしょう?
…ジタバタしかできないなら 方法はひとつ…!!
みなさん!
ジタバタしましょう!!

(「ダイの大冒険」コミックス 23巻)

私たちの普段の生活でも、同じような場面があるのではないでしょうか。

「どうせ何をやっても手遅れだ、意味がない」と思うようなとき、そこで何もしなかったら成果はひとつも得られない。

考え方を180度変えて「ひょっとしたら何かわかるかもしれない」と気持ちを切り替え、手を動かしてみる。

そのとき、頭では考えてもみなかったことがわかるかもしれない。新しい突破口が見つかるかもしれない。

ジタバタするのも、悪くない。

人生はロールプレイングだぜっ!

次の言葉は、「ダイの大冒険」のコミックス最終巻に載っていた言葉。

物語本編に出ていたものではなくて、あとがきのコメントにて、ドラクエの生みの親である堀井雄二さんが語った。

『ダイの大冒険』は終わってしまったけど、キミたちの人生の冒険は、これからがクライマックスです。
ダイのように素晴らしい仲間たちと出会い、成長していってくれることを祈っています。
人生はロールプレイングだぜっ!

(「ダイの大冒険」コミックス 37巻)

人生のロールプレイングゲームも同じだ。

ゲームの世界では、キャラクターの行動は選択肢から選んで決める。

その選択の積み重ねによって、レベルが上がったり、強敵に勝ったり、生き残ることができたり。

人生も同じではないでしょうか。

自分の行動は自分で決める。

過去の選択の結果がいまの自分を作っている。

同時に、これからの選択次第で、将来の自分がどうなっていくのかが変わってくる。

はたして、私は”未来の自分”のための行動を選んでいるのだろうか。

成長や健康、幸せのための行動をしているだろうか。

この言葉を見るたびに、自分の普段の行いを見直すことができる。

ダイとポップのふたりの冒険にワクワクしてみませんか?

ダイとポップの冒険の旅には、いくつもの困難が襲いかかる。

  • 強敵との対峙
  • 敵の卑劣な罠
  • 自分の心の中の葛藤

そういったものを「どうやって乗り越えるのだろう?」とワクワクしながら読むことができる。

ときには傷つきながらも、困難を乗り越えていくふたりの姿は、一段と輝きを放っている。