貧困は当事者だけの問題ではなくなった コロナ禍の闇バイトや家畜盗難の共通点

NHKにて毎週火~木に放送されている「クローズアップ現代+」で、

といった題目が連日の放送となった。

その2日分の放送を見て、「このまま行くと、これからの日本って、とんでもないことになるんじゃないか」と恐怖を感じざるを得なかった。

その理由は、連日放送された「家畜盗難」と「闇バイト」は、”貧困”の問題が深く関わっており、それが日本に住むすべての人の生活に悪影響を与えかねないと感じたからだ。

「家畜盗難」と「闇バイト」 問題の共通点は”貧困”

コロナ禍で生活もままならないベトナム人技能実習生

ベトナム人グループが家畜盗難に関与したのではないかという報道がいくつかされている。

中には、ベトナム人技能実習生も含まれているとされている。

11/25(水)に放送された「失われたブタを追って」では、SNSで売買されていた出どころ不明の豚を購入したベトナム人技能実習生に取材した様子が放送された。

「なぜ出どころ不明の豚を購入したのか?」といった記者の質問に対して、ベトナム人技能実習生の答えは、要約すると以下のようなものだった。

  • ただでさえギリギリで生活していたのに、コロナで仕事が減り、生活もままならない。
  • SNSで売買されていた豚は、通常で販売されているものと比べるとかなり安かった。
  • 出どころはわからなかったが、生活するために購入した

つまり、生活苦に陥ったため、格安で売られていた豚肉を購入するに至ったということ。

今回、取材を受けたベトナム人技能実習生が豚を盗難したわけではない。

しかし、出どころ不明の豚でも安ければ買う人がいる。

需要があれば、供給する側が安く豚を仕入れるために、盗難が起こっても不思議ではない。

貧困がさらに広がれば、こういった話をもっと多く耳にするようになるかもしれない。

”お金に困る若者”を狙い目・使い捨てにする闇バイトの実態

11/26(木)に放送された「追跡!コロナ禍の“闇バイト”」では、実際に闇バイトに手を出した若者と、闇バイトを斡旋する人物へのインタビューの様子が放送された。

驚きだったのが、闇バイトを斡旋する人物へのインタビューから明らかになった闇バイトに関与する組織の”ピラミッド構造”だった。

ピラミッドは3段になっていて、上から

  • 元締め
  • 指示役
  • 実行役

となっているという。

SNSなどでは、実行役の募集が行われている。

捕まるリスクは、ピラミッドのいちばん下の実行役がいちばん高く、上に行くにつれて少なくなるとも語った。

 

借金の返済に当てるために闇バイトに手を出した若者へのインタビュー。

そのインタビューの中で、彼は闇バイトの前に「身分証」の提示を求められたことを語った。

「抜けたければ、一回でも成果を上げてこい」といった脅しも行われているという。

一度闇バイトに手を染めると、抜け出すことは容易ではない。

 

「狙い目は”お金に困った若者”だ」と、闇バイトを斡旋する人物は語る。

一定以上の成果を上げることで、指示役に”昇格”できる仕組みがあることも語った。

実行役だった人が指示役になり、さらに実行役を増やそうとする仕組みだ。単純に考えれば、この仕組みによって、実行役はねずみ算式に増えていくことになる。

実際には、そんな単純に増えていくとは思わないが、若年層の貧困が広がれば、特殊詐欺の被害はいまの数を上回っていくことになるだろう。

「実行役なんて使い捨て」

そう語った彼の言葉が頭から離れなかった。

犯罪の被害にいつ遭ってもおかしくない時代がすぐそこに来ている

「家畜盗難」と「闇バイト」。それらの問題の共通点としての”貧困”。

今回のコロナ禍で、”貧困”が社会にもたらす悪影響を垣間見えた気がした。

しかし、”貧困”の問題はいまがピークなのだろうか。

 

少子高齢化で若者の数が減ることで生産力が低下する。

それと同時に、消費も落ち込む。その結果、経済状況は悪化し、貧困層がいまよりも広がりを見せる。

そんなシナリオを描くことも難しくない。

労働力不足を外国人労働者でいま以上に補おうとすることも考えられる。

だが、安くて便利なことになれてしまった私たち。

企業としては、商品を安く売るため、人件費をさらに削減する方向に舵を切ることだってあり得る。

そうなれば、いま以上に外国人労働者の失踪が増えることに繋がりかねない。

就職氷河期世代はフリーターや非正規の割合が多い。

そのため、老後を迎えても年金の給付額が低く、貧しい暮らしを強いられる人が多く出る。

「貧困に陥った老人が、自分よりも裕福で年老いた老人をターゲットに強盗に押し入った」

そんなニュースが報道される時代が来るのかもしれない。

高齢化が進む中で、「親の介護で仕事が続けられなくなった」という人の割合も増えてくる。

 

貧困が広がれば、増える犯罪は「家畜盗難」や「闇バイト」だけではない。

万引きから空き巣・強盗など、私たちの生活にも影響を及ぼすものもある。

”貧困”は当事者だけの問題ではなくなった。もう”自己責任”なんて言ってられないところまで来ている。

「日本は治安がいい」と言ってられるのは、あと数年しか残されていないのかもしれない。

「日本はどのような制度・社会の国であるべきなのだろうか?」

ひとりひとりが自分事として考える必要がありそうだ。