これこそ理想の夫婦像!「監督不行届」を読んだ感想

「監督不行届」という漫画をご存知だろうか?

作者は「働きマン」の原作者、安野モヨコさん(作中では、ロンパース)。そして、安野さんは、あの「新世紀エヴァンゲリオン」で有名な庵野秀明さん(作中では、カントクくん)と結婚されました。そのロンパースとカントクくんの結婚生活を描いたのが、この「監督不行届」という作品です。

「日本のオタク四天王」の一人と呼ばれるカントクくんとの結婚生活。作中では、コミカルに描かれていて、これがまたおもしろい。さらに、何回も読んでいると、この漫画には”理想の夫婦とは?”という答えが隠されていたのだと気付きました。

愛情が溢れている

なんといってもカントクくんがめちゃくちゃかわいい。

ロンパースに

「もう知らないからね!」
(出典:監督不行届)

と言われたときも

「知って!!わしのことを知って!!もっと!!」
(出典:監督不行届)

と言い出します。エヴァを作った人とは思えないほどのかわいさです。この漫画を読むまで私は、「エヴァを作った人なんだからとても繊細で、気難しい人なんだろうな」と思っていました。

カントクくんがこんなに可愛らしく描かれているのは、ひとえにロンパースの、カントクくんを想う気持ちのおかげではないでしょうか。読んでいるこっちも温かく幸せな気持ちになります。楽しんでカントクくんを描いている姿が目に浮かびます。

相手の”ありのまま”を受け入れている

カントクくんは、生粋のオタクです。オタクの中のオタクです。ドライブ中にもアニソンや特撮の主題歌が流れます。

ロンパースは、初めはそれがストレスになっていたのですが、あるときから

抵抗してストレスためるよりなじんだ方がラク
(出典:監督不行届)

と気づき、いまではノリノリで歌っているそうです。

このエピソードから、「好きな人だからこそ、欠点も受け入れよう」と考えることが大切だと私たちに気づかせてくれます。

私たちは普段、相手の欠点や嫌な行動をどうにかして直させたり、変えさせようとします。相手が好きな人であれば、なおさら直させようとするでしょう。

しかし、そういったことをされた相手は、「意地でも治すもんか、変えるもんか」という気持ちになってしまいます。これでは問題を解決するどころか、さらにややこしくしてしまいます。

あなたが好きになった人には、好きになるだけの理由(長所や魅力)があるはずです。「それらの長所に比べたら、欠点なんて些細なものだ」と思い、相手の”ありのまま”を受け入れることができれば、ロンパースみたいに”ラク”になれるのでしょう。

相手の力になりたいという気持ちが眩しい

もしも…私が病気したら…ちゃんとかん病してもらえるのだろうか

いや…かん病はしてくれるだろうけど…役に立つのだろうか?カントクくんは
(出典:監督不行届)

と不安に思っていたロンパースですが、実際に風を引いた際、オロオロしながらも看病するカントクくん。そんな姿を見てロンパースは

できてるどころか…かいがいしい!?ものすごくめんどうみてくれる
(出典:監督不行届)

と考えを改めます。

映画監督として多忙を極めていたと思われますが、ロンパースの看病に付きっきりになっていた描写を見て、カントクくんはロンパースのことを大切に思っているんだと感じました。

また、巻末の”庵野監督 カントクくんを語る”では、

本当のウチの嫁さんは、ものすごく繊細で脆く弱い女性なんですよ。

(中略)

だからこそ、自分の持てる仕事以外の時間は全て嫁さんに費やしたい。そのために結婚もしたし、全力で守りたいですね、この先もずっとです。
(出典:監督不行届)

と語っています。

果たして、いまの世の中、どれだけの人がこのような思いを持っているでしょうか。お金さえあれば、多くのものが手に入るようになり、気がついたときには相手を思いやる気持ちを忘れてしまいそうな現代で、この「監督不行届」は、私たちに”人間のあるべき姿”を思い出させてくれる作品ではないでしょうか。

共働きが当たり前になってきた今、女性の負担が日に日に大きくなっているのではないでしょうか。どうしても体力的にも男性の方が有利だし、職場の多くは男社会になっている。女性はその男社会に入っていかなければならなくなった。

そんな今だからこそ、庵野さんのように、大切な人に自分の時間を多く費やしたい。不器用でもいいから、少しでも大切な人の力になりたい。そんな人に、私はなりたい。

【追記】
こちらのインタビュー記事でもお二人の愛情や信頼が伺えます。
「シン・ゴジラ」公開記念特集 安野モヨコ、庵野秀明を語る (3/4) – コミックナタリー