あなたは”冨樫義博”という人物をご存知でしょうか。
漫画好きの方ならご存知かもしれません。
彼は、”ハンターハンター”や”幽遊白書”と言った ジャンプ史に残る名作を生み出した漫画家。
これらの作品は、ジャンプの黄金期を支えてきた名作です。
でも、私は声を大にして言いたい。

冨樫先生の作品の中で、いちばんおもしろいのは”レベルE”なんだ!
王道とはまた違った面白さ
ハンターハンターや幽遊白書は いわゆる”バトルもの”。
王道ど真ん中のジャンルです。
(ハンターハンターは”王道の邪道”って感じがするけど…。)
一方で、この”レベルE”は“SFコメディ”。
次のような冒頭で、物語は始まる
現在 地球には 数百種類の 異星人が行き交い 生活している
気づいていないのは 地球人だけなのだ………
(出典:レベルE 単行本1巻)
そんな状況の中、一人の異星人が地球に襲来する。
突如として現れたその人物。
しかし、彼は、異星人の間では知らない人はいないというほどの有名な人物だった。
彼を知るものは、みなこう呼ぶ。
「ドグラ星の“バカ王子”」と
まさに、この”バカ王子”がなんといってもトラブルメーカーなのだ。
“バカ王子”に、周りの人が振り回されるドタバタ劇を描いたのが、この”レベルE”なのである。
宇宙一の天才的な頭脳を持つのに”バカ王子”?
“バカ王子”と呼ばれる彼は宇宙一の天才的な頭脳を持つ。
しかし”バカ王子”は、その天才的な頭脳を人々のために使うことはない。
“バカ王子”には、道徳心や倫理観、モラルといったものが欠如していたのだった。
あるキャラによると
ドグラ星の第一王子は 宇宙一頭の切れる バカ王子
退屈しのぎのためなら 他人の迷惑なんて 屁とも思わないろくでなしって話よ
(出典:レベルE 単行本2巻)
といった具合。
たとえば
- 小学生を拉致って、勝手に人体改造を行なう。
- そして、戦隊ヒーローとして、賞金首の宇宙人と戦わせようとする。
- その後、RPGの世界に巻き込み、無理難題を与えようとする。
この”バカ王子”、めちゃくちゃなんですが、不思議と不快感や嫌味など感じないんですよ。

冨樫先生の描くキャラクターは、やっぱり魅力的だなあ!
そう思わざるをえません。
(ハンターハンターでも、主人公のゴンやキルアだけでなく、敵キャラのヒソカ、クロロを筆頭とする幻影旅団など、魅力的なキャラが多いですもんね)
斜め上を行く展開
“斜め上を行ってる”なんて聞いたことないですか?
一説では、この”レベルE”が出典ではないか?”と言われている。
あいつの場合に限って 常に最悪のケースを想定しろ
奴は必ずその少し斜め上を行く!!
(出典:レベルE 単行本1巻)
まさに、その“斜め上”の行動のオンパレード。
“バカと天才は紙一重”と言わんばかりの王子の行動。
読者をうならせる”斜め上”の展開に、驚きと笑いが止まりません。
シリアスとコメディのバランスや、綿密に計算されたストーリー展開。
どれをとっても一級品。

冨樫先生のストーリー構成って、かなり時間をかけて考えてるよな!
初めて読んだときは、そう感心するばかりでした。
まずは3話まで読んでみて!
”レベルE”は全3巻(文庫本は、上下2冊)。
文字数が多めなので、サクサクとは読めませんが、どの話もだいたい2〜3話で完結します。
なので
「あんまり巻数が多いと読む気しないんだよな…。短く完結してる方がいい!」
「漫画を読む時間があまりないんだよな…。少しずつ読める作品を!」
っていう方にオススメ!
それでも
「どうしようかな?読もうかな」
と迷われているなら、だまされたと思って3話まで読んでみてください。
1〜3話は、バカ王子が初めて地球に襲来したときの話。
はるばる銀河のかなたから、宇宙船に乗って一人で日本にやってきたバカ王子。
だが、墜落の衝撃で記憶喪失になったという。
そんな王子をめぐって様々なトラブルが起こっていく。
宇宙人であることに気づき、王子を捕まえようとする研究員が接近してきたり。
ドグラ星人と敵対する異星人との抗争が起こったり。
そして、追い詰められる王子と周りの人々。
それらの困難を乗り越えながら、最終的に、一行は、王子の”秘密の○○”を発見する。
しかし、そこには、王子が日本にやって来た驚くべき理由と、その計画の一部始終が。
そこで初めて、あなたは王子の本性を知ることになる。