子どもが引きこもりになったときに知っていてほしいこと【経験者は語る】

私自身、大学受験をきっかけに、約1年半ほど”引きこもり”になっていた時期がありました。

そして、引きこもりから抜け出した今、痛切に感じていることは

「世間には、引きこもりに対する誤った認識があふれている」

ということです。

そこで、ここでは、少しでも引きこもりに対する偏見や差別がなくなることを願って

  • 引きこもりについて知っておいてほしいこと
  • 引きこもり解決のために必要なこと・やってはいけないこと

などを思いつく限り書いています。

私は専門家ではないので、私の経験からしか語れませんが、少しでもお役に立てれば幸いです。

引きこもりは、特別おかしいことではない

まず、いちばんに伝えたいことは、「引きこもりは、特別おかしいことではない」ということです。

そのことを

  • 引きこもりになるメカニズム
  • 引きこもりは、誰でもなりうる
  • 決して”甘え”や”怠け”なんかじゃない

といったことを踏まえて、順番に説明いたします。

引きこもりになるメカニズム

引きこもりになりうる原因は、身近にたくさんあります。

  • いじめ
  • 人間関係のもつれ
  • 学業不振
  • 受験、就職の失敗
  • 家庭環境の変化

など。

これらのことで悩んだ経験を持つ人はかなり多いのではないでしょうか。

こういった出来事をうけて、あるべき理想といま直面している現実との差に折り合いがつけれなくなってくる。

問題が長引くにつれ、精神にかかる負担は大きくなっていく。

次第にその差に耐えきれなくなり、自分を守るための最後の防衛手段として”引きこもり”という行動をとる。

自分の経験からしか語れませんが、これが引きこもりになるメカニズムです。

まとめると

  1. 現実の出来事と理想とのギャップに直面する
  2. そのギャップに折り合いがつけれなくなり、防衛行動の一種として引きこもる

といった具合です。

引きこもりは、誰でもなる可能性がある

引きこもりになりうる原因は、私たちのすぐそばにたくさんあるのです。

つまり、引きこもりは、特定の誰かだけがなりうるものではなく、誰にでもなる可能性があるものということです。

確かに、上に挙げたような出来事を受けても、引きこもりにならない人もいます。

確かに、引きこもりになりやすい・なりにくいは人によってことなるでしょう。

しかしながら、なりやすい人・なりにくい人がいるのは、ケガや病気・うつも同じです。

どれだけ健康管理に気をつけていても風邪を引く人がいる一方で、徹夜が何日も続いてもピンピンしている人もいます。

そういうふうに考えると、引きこもりは、ケガや病気・うつに近いものと感じられます。

ケガや病気になることは、特別おかしいことではありません。

だから、引きこもりになることが、それほどおかしいことだとは思えないのです。

引きこもりになったからといって、人より劣っていたり、欠けているといったことは決してありません。

引きこもりは、誰でもなる可能性があるものなのです。

決して”甘え”や”怠け”なんかじゃない

確かに、ケガや病気は好ましい状態ではありません。

だからといって、「ケガをするやつは異常だ、病気になるやつはおかしい」などと言う人はいません。

あなたがケガや病気になったとき、周りの人はきっと「大丈夫?いまは休んでしっかりと治しなよ!」といった言葉をかけてくれると思います。

しかし、引きこもりの場合は、様子が違ってきます。

  • 「引きこもりは甘え・怠けだ」
  • 「引きこもりになったら有無を言わさず放り出せばいい」

こういった意見が出てきますが、はたして本当にそうなのでしょうか?

私自身の経験を振り返ると、引きこもりになりやすいのは

  • まじめである人
  • 悩みを他人になかなか打ち明けられない人

だと感じています。

まじめだからこそ、理想と現実のギャップにうまく折り合いを付けることができないで悩む。

悩みを打ち明けられないからこそ、一人では抱えきれなくなり、”引きこもり”というひとつの防衛行動を起こす。

一体、これのどこに”甘え”や”怠け”があるのでしょうか?

はたして、家から放り出せば、引きこもりの原因は解消するのでしょうか?

引きこもりが解消するには時間がかかる

私自身、引きこもりとなって気づいたことは、引きこもりには3段階あるということです。

  1. 休息
  2. 気づき
  3. 行動

そして、いずれの段階でも、次のステップへ行くために時間が必要になるということです。

解決へのステップ1:休息

まずはじめに必要なのは、”休息”です。

引きこもりは、理想と現実との折り合いをつけれなくなったときの防衛行動です。

そのため、引きこもりになった当初は、心身ともに疲れきっています。

冷静な思考や判断なんてできる状態ではありません。

そのため、心身を回復させ、冷静な思考ができるようになるために、”休息”の期間が必要なのです。

解決へのステップ2:気づき

”休息”の次に必要なのは、”気づき”です。

何に気がつかなければならないかは、引きこもりになった原因や個人の性格などによって変わってきます。

たとえば

  • いままで考えなかった生き方
  • 自分の弱さや欠点との付き合い方
  • 自分に合った人間関係のあり方

など。

この”気づき”は、本人が考えた末にたどり着いたものでなければなりません。

いくら他人が正しい答えを指し示しても、本人が納得しなければ意味がないからです。

この”気づき”の期間は、言うならば、”答えのない問題”と向き合う期間です。

誰にでも当てはまるような答えはなく、手探りで、自分に合った”気づき”を見つけなければなりません。

そのため、この”気づき”を得るためにも、ある程度の期間が必要になってきます。

解決へのステップ3:行動

最後は、”行動”です。

  • 引きこもりから抜け出すために
  • 同じ原因で引きこもりに戻らないために

そういったことを頭に入れながら、前段階で得た”気づき”を基にして実際に行動する。

一度でうまくいくとは限りません。

その場合は、なぜうまくいかなかったかを考え直し、また新たな行動を起こしていく。

このステップでも、自分にあった行動を見つけるために時間が必要になってくるのです。

親が子どもにできること

いま思えば、私が引きこもり状態から脱することができたのは、母が忍耐強く私に接してくれたからでした。

その経験を振り返ってみると、

  • 子どもを信頼して待つこと
  • 子どもとの信頼関係を壊さないこと

が引きこもり解決のために本当に重要だと感じています。

基本は、子どもを信頼して待つこと

「引きこもり解決の3ステップ」で見てきたように、引きこもり状態を脱出するためには、どのステップにおいても一定の期間が必要になってきます。

そういった期間を考慮せずに、無理矢理に外へ放り出したり、行動を急かしたところで状況が好転するとは考えられません。

  • 休息が必要な時期なのに、休ませなかったことで状況が悪化する
  • 気づきが得られていないのに、外へ出したため、また疲弊して戻ってきた
  • 行動を急かしたばかりに、行動することをやめてしまった

そういったことになってしまっては、本当の意味での解決は遠ざかってしまいます。

ですので、引きこもり解決のために親ができることは、「子どもを信頼して待つこと」が基本です。

引きこもりになるのは、まじめな子だったり、人一倍痛みに敏感だったり、優しく思いやりのある子だったりします。

そんな子たちが、ずっと部屋に閉じこもったまま一生を過ごすとは、私には思えません。

部屋の中で、引きこもりの解決につながらないようなことをやっているように見えても、実は気持ちを整理するために必要なことだったり、気付きを得るためのきっかけになることだったりするのです。

「少し休んだら、なにかに気づき、引きこもり状態を抜け出してくれる」

そう信じて、待ってみてくれませんか?

子どもとの信頼関係を壊さないこと

「待つこと」とともに重要になってくるのは、「信頼関係を壊さないこと」です。

引きこもりとは、これまでみてきたように、「外の世界で生活していて、どうにも耐えられなくなったときに、最後の逃避先として、”家”を選んだ状態」のことです。

そのような状態のとき、外の世界に対して不信感に似た感情を抱いています。

「自分は大丈夫なんだろうか?本当にやっていけるんだろうか?」

そういった感情が、胸の中で常に渦巻いています。

外の世界に頼りどころがなく、最後の逃避先として選んだ安全な場所が、”家”だったのです。

そんな状態にあるにも関わらず、家族にさえ頼ることができなくなってしまえば、子どもはどうなってしまうでしょうか?

家から出る前に、自分の部屋からも出てくることが出来なくなります。

だから、子どもとの信頼関係は絶対に壊さないでください。

  • 無理に部屋から引きずり出そうとする
  • 早く解決するように諭す
  • 正論を振りかざす
  • 将来の不安を投げかける
  • 「引きこもりは恥だ」などと非難する

そういったことは、絶対にやめてください。

信頼関係を壊さずにいれば、子どもが悩みを打ち明けたくなったときや相談したくなったときに、アクションを起こしてきます。

そのときも、自分の意見を押し付けるのではなく、子どもの意見や行動を尊重するように心がけて接する。

一緒に考えたり、きっかけとなることを探したり…

そうしたことを積み重ねていくと、子どもは、引きこもり解決に向けて、少しずつ歩んでいきます。

引きこもりは、必ずしも悪ではない

「私の引きこもりの経験は、”気づき”を得るためにあったんだ」

そう考えられるようになったとき、私は「引きこもりは、必ずしも悪いことばかりではない」ということに気づきました。

それは、引きこもり期間の”気づき”が、いま生きる上で、とても役に立っていると感じているからです。

  • 変なプライドを持つのは意味がないだけでなく、有害になる
  • 他人からの評価を気にしても息苦しいだけ(他人の目は気にしない)
  • 神経質・完璧主義な自分との付き合い方(100できなくても50できれば良しと考えよう)
  • 思い通りにいかなくても自分を卑下する必要はない(むしろ思い通りにいくことの方が少ない)
  • いい意味での”諦め”や”テキトー”があるということ
  • 周りのせいにしたり、世の中をなげくより、自分のやるべきことを淡々と行うべきだということ

自分の精神的な弱さに向き合い、こういった”気づき”があったからこそ、私はいま生きている。

私が引きこもりになったのは、大学受験が思うようにいかず、自分に価値がないように感じられたのが原因だった。

その当時は、いい大学に行かなければ自分の人生がこの先真っ暗だと本気で考えていたし、幸せなんて手に入れられないと思い込んでいた。

いま冷静に思い返せば、私が引きこもりになった原因なんて、ちっぽけなことだった。

社会に出れば、それ以上に頭を悩ませる出来事がいくつもあった。

それでも、ふたたび引きこもることなく、なんとかやってきているのも、あの期間に得た”気づき”があったから。

ひょっとしたら、あの引きこもり期間がなければ、私はもうこの世にいなかったのかもしれない。

だから、私は一概に”引きこもりは悪だ”とは思えません。

少なくとも、私にとって”引きこもり”は生きる上で必要な期間だったから。