クリスマス。知り合いの女性をデートに誘った。
その女性とは、それまでに数回ほど、二人で遊びに行っていた仲。
そんなやりとりをしつつ、OKをもらった。
私は密かに、誘う前から決めていた。
その決意をかため、臨んだクリスマスデート。
イエスでもノーでもない答え
クリスマスデートは順調で進んでいった。
クリスマスということもあり、さらにイルミネーションの雰囲気でどこかいい感じになっていった。
周りもカップルだらけ。
そう思ったものの、肝心の”付き合おう”という言葉がなかなか出てこなかった。
そうこうしていると、ひととおりイルミネーションを見終わった。
そして、”そろそろ帰ろうか”っていう流れになっていた。
帰り道、今日のイルミネーションの感想など、なんでもない会話で盛り上がる。
そんな会話をしながら、駅へと向かう。
そう思ったとき、彼女の手をとっさに握った。
彼女の言葉もいっさい気にせずに
と思いを伝えた。
“今日こそ告げよう”と思っていたその言葉がやっと出てきた。
急な出来事だったからなのか、彼女は驚いたような表情をしていた。
2〜3秒の沈黙の後、彼女はゆっくりと答えた。
予想外の返事だった。
“好き”に理由なんてあるの?
そういって、頭をフル回転させて考えたけど、答えが出てこない。
その後に出てきた言葉は、どこかぎこちなかった。
その言葉は嘘ではない。
でも、内心では
って考えてた。
正直に言うと、
- “落ち着くから好き”っていうよりも、”好きだから落ち着く”っていうのが正しい気がする。
- “相性がいいから好き”なんじゃなくて、”好きだから相性がいい”と感じているような気がする。
だから、口から出たそれらの言葉は、どれも後からつけたような理由に感じた。
クリスマスのその日、彼女から”告白の返事”は返ってこなかった。
駅までの道のりが長く感じた。
そう言って、彼女を見送った。
ひょっとして彼女は…
そんな疑問を頭の片隅に置きつつ、その後もデートを重ねた。
彼女とのデートを重ねていくうちに、わかったことがひとつあった。
それは、“彼女は褒められても、頑なに否定する”ということ。
なんて言うと
って返ってくる。
彼女から手作りのお菓子をもらったときも。
って言うと
みたいな返事。
最初はただ謙遜して言っているのだと思っていた。
けど、デートを重ねるにつれて、どうも違うように思えた。
ふと、そう感じるようになった。
それなら、告白したとき、彼女が驚いたのも保留にしたのも納得できる。
“どこが好き?”って聞き返したのも、わかる気がする。
自分に自信がないので、急な告白を信じることができなかったのかもしれない。
いくら考えても、出てくるのは”うわっつらの解決策”ばかりだった。
解決策はきっと、彼女自身が見つけるしかない。
私にできることは、いつまでも彼女のそばにいることぐらい。
クリスマスから数ヶ月経ったある日のこと。
彼女がそう言ってくれたのだから。
勇気をもって、告白を受け入れてくれたのだから。
彼女を不安にさせないように。自信を持ってもらえるように。
きっとここからが、本当のスタート。